安酒一杯

「常識で考えろ!」「普通に考えたら分かるだろ!」子供の時に怒られた。でも、「常識」ってなに?「普通」って?大人になってから考えてみた。

人は生まれながらに平等ではない。

この世の素晴らしい考えは、その逆が当たり前の世界があった証拠である。

例えば「人は生まれながらに自由で平等である」という考え方がある。これはフランス人権宣言にて提唱されたのが最も有名だろう。当時は王権神授説(「王権は神から与えられたものであり、国王のする事に国民は反抗できない。」という思想)や第一身分(僧侶)・第二身分(貴族)は特権階級で第三身分(平民)はそうではないという考えが当たり前だった。つまり人は生まれながらにして自由ではないし、不平等であった。

この様な状況下だったからこそ「人は生まれながらに自由で平等である」というフランス人権宣言が提唱されたし、それが歴史の教科書に載る程の事件として取り上げられている。もし人が自由で平等な世界でフランス人権宣言を出そうものなら「そんなの当たり前だろ、何を今更」と言われ相手にされないだろう。

「人を殺してはいけない」というのはモーセ十戒の1つだが、それは人殺しが当たり前に行われていたからこそ神がモーセに与えだのだ。殺人が起きていないのにも関わらず、神がわざわざ「人を殺すな」とは伝えない。

「人は平等」「夢は叶う」「命は大切」どれも素晴らしい言葉だけれど、この言葉が輝いている間はそうではない現実がある証だ。