安酒一杯

「常識で考えろ!」「普通に考えたら分かるだろ!」子供の時に怒られた。でも、「常識」ってなに?「普通」って?大人になってから考えてみた。

人の命の値段はいくら?

2億4,266万4,000円

これが人間1人当たりの値段だ。

しかも一部の反社会的勢力や民間企業が出している金額ではなく、国の機関である国土交通省が公式に発表している価格である。

注意してほしいのはこの金額は私が国土交通省の資料から計算したものであり、かつこの金額で人が売買されているとか、殺人の権利が与えられるという話ではない。

そもそも、どのような方法でこの値段を算出したのか?

この値段は交通事故減少便益の人的損失と精神的損失を足した数値だ。

「訳の分からない用語が色々と出てきた」と感じる方もいると思うので、大雑把にではあるが1つづつ説明していく。

まず、交通事故減少便益とは交通事故が起こる事によって発生する損失だ。

例えば、事故によって街灯が壊れればそれを修理するお金が掛かる。この金額が損失になる。

他にも事故で渋滞が起これば、事故が起きなければ出来た分の仕事が出来なくなる。仮に椅子工場の作業員が全員事故の渋滞に巻き込まれて1時間遅刻したとする。その1時間で椅子が20個作れるとしたら、本来作れたはずの椅子20個が失われたという事になる。

次に、人的損失とはもしその人が死なずに働いていれば生み出せた価値だ。

そして、精神的損失とは「交通事故の死亡リスクを削減する為にいくら税金を使うべきか?」というアンケートの結果を基に計算した金額だ。

この人的損失と精神的損失の金額に他の数値を足して、コストパフォーマンスを計算し、その結果を基に道路の安全性を高める工事をするかどうか決める。

最初に書いた2億4,266万4,000円は上記の人的損失と精神的損失を足した金額だ。

つまり、「その人が社会の為に創り出せる価値」と「国民が交通事故の死亡リスクを削減する為に使うべきだと思う税金の金額」を足し合わせ金額だ。

これが高いか安いかは分からない。しかし、この金額を基に現実の安全対策は実行されている。つまりは人命を金額として数値化した上で考えられているという事だ。

 

(参考)

国土交通省 『交通事故減少便益の原単位の算出方法』http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/hyouka-syuhou/4pdf/s2.pdf